入居検討中

賃貸借契約書と重要事項説明書ってどっちが重要?不動産屋店長が5分で違いを分かりやすく解説!!

入居検討者

物件が決まって、今度契約手続きすることになったんだけど、賃貸借契約書と重要説明書って書類が2種類あるけどどうちがうのかな?

やまびこ

そうですね。賃貸借契約書は、大家さんと入居者さんとの間のルールを記載した契約書です。重要事項説明書は契約や物件に関しての重要なポイントを不動産会社から入居者さんに説明する書類です。

入居検討者

でも内容は結構似ていると思うんだけど、どっちが重要なのかな?

やまびこ

結論から言うと、どちらも大事です。

ただポイントだけ抑えたい場合には、重要事項説明書を読めば大事なところは網羅できます。

では今回の記事内容です。

今回の記事の内容
  • 賃貸借契約書と重要事項説明書はどちらも重要
  • ポイントだけ押さえたいなら、重要事項説明書でOK
  • 契約書だけだとトラブルがあるため、重要事項説明書が存在する
  • 重要事項説明を聞いて問題ないか判断してから、契約書への署名捺印がおススメ
  • 最近の追加項目(連帯保証人の極度額・水害ハザード)

この記事の対象の方契約手続きが決まったが、契約書と重説のポイントを把握したい方
記事の難しさ(★5段階評価)★★★
この記事を読む所要時間約5分
この記事を読むメリット重説でポイントを押さえてから契約書へ安心して捺印ができる

まず私の自己紹介をさせてください。

不動産賃貸のプロである私が、賃貸借契約書と重要事項説明書の違いやポイントをなるべくわかりやすく説明します。

どちらの書類も文字だらけでどこを見たらいいかわからない方が多いと思います。

ただ、どの項目がポイントかを踏まえれば難しいことは一切ありません。

最後まで記事を読んでいただき、気に入った物件に安心して契約していただければと思います。

では本題に入ります。

賃貸借契約書と重要事項説明書はどちらが重要

どちらも重要

結論から言いますと、どちらも重要です。

契約書も重要事項説明書も、同じような書類のように見えると思います。

どちらの書類も文字だらけの書類ですが、契約に関する内容を網羅しているため重要です。

ポイントだけ押さえたい場合は、重要事項説明書を読めばほぼOK

重要事項説明書=契約書のポイント+入居にかかわる注意事項

重要事項説明書は、その名の通り契約に関する重要事項、つまりポイントをまとめた書類ということです。

そのため、契約にかかわるポイントだけを押さえたい場合には、重要事項説明書を読めばほぼ網羅できます。

併せて、土砂災害・津波災害・水害など住む際に気になるエリア情報なども重要事項説明書の中で確認できます。

契約書と重要事項説明書の違い

書類の目的

契約書と重要事項説明書にはそれぞれ目的があります。

上記図の通り、契約書は物件オーナーとの書類で重要事項説明書は不動産屋との書類です。

では、それぞれ詳しく見ていきましょう。

契約書は貸主と借主の間の契約

契約書=物件のオーナーさんと入居者さんとの間で、入居に関するルールをまとめたもの

契約書は、物件に入居する際にオーナーさんと入居者さんが揉めないように、ルールをあらかじめ決めておき、それをまとめた書類です。

契約書とは?

下記のようなルールをまとめてあるものです。
・物件の家賃はいくらですよ。
・支払い方法は銀行振込ですよ。
・禁止事項は〇〇〇ですよ。
・滞納したら損害金は〇〇%ですよ。
・解約の時は、〇ヵ月までに申告がいりますよ。

今までトラブルになってきた内容を盛り込んで書類にしてありますので、どの管理会社の契約書も条文(ルール)はほぼ似通っています。

重要事項説明書は不動産会社が借主に説明する書類

重要事項説明書=不動産会社が入居者さんが安心して生活するために、重要なポイントをまとめた書類です。

重要事項説明書は、不動産会社が入居者さんに説明する書類です。

安心・快適な生活ができる物件かどうかを把握してもらうために、重要な項目を説明する書類です。

重要事項説明書とは?

契約書の重要ポイントと併せて下記のような項目をまとめてあるものです。
・取扱する不動産会社はちゃんとした会社ですよ。
・オーナーさんは物件建築の際に銀行からお金を借りていて抵当権がついてますよ。
・物件があるエリアは土砂災害・津波災害・洪水などの危険性が無いエリアですよ。
・この物件はアスベストを使っていませんよ。
・耐震診断や建物調査をしていますよ。

2種類の書類がある理由

では、なぜ賃貸借契約において、契約書と重要事項説明書の2種類の書類があるのでしょう?

その理由を詳しく説明していきます。

不動産会社からの説明不足による借主からのトラブルが多い

契約書のみでは、入居して生活するための判断材料が少ない
そのため、不動産会社の説明不足によるトラブルが多い

オーナーさんとの間のルールだけでは、その物件に入居して安心して生活できるかどうかを判断するための情報が少ないです。

具体的には、下記のような内容です。

  • 物件のオーナーさんは大丈夫か?
  • 物件のあるエリアは災害が少ないエリアか?
  • 物件に有害物質が使われていないか?
  • 物件の耐震は大丈夫か?

借主がトラブルなく入居するために重要事項説明書が必要

入居者さんが、トラブルなく入居するためには契約書だけではなく重要事項説明書も必要です。

その理由は、重要事項説明書があれば入居して安心して生活するための判断材料として、重要ポイントを把握できるからです。

役割のイメージは下記のとおりです。

重要事項説明書と契約書の役割イメージ

  • 重要事項説明書で物件やエリアなどに問題がないか確認
  • 契約書で入居に関するルールに問題がないかどうか確認

上記のイメージを持って契約することで、安心して入居でき適切な契約が可能になります。

賃貸借契約書・重要事項説明書の比較表

契約書と重要事項説明書は、記載されている項目の半分以上が同じ内容です。

ただ契約書には載っていても重要事項説明書には載っていない、重要事項説明書には載っていても契約書には載っていない項目があります。

やまびこ

では、契約書と重要事項説明書のそれぞれの記載事項を下記の比較表で詳しく見ていきましょう。

項目内容契約書重要事項説明書
借主貸主の表示貸主名と借主名の記載があります。契約書上は貸主(オーナーさん)は甲、借主(入居者さん)は乙と表記されます。
物件の表示物件名・住所・建物構造・間取り・面積など物件情報の記載があります。
アスベスト使用有無物件建築の際にアスベストが使われたかどうかや調査したかどうかの記載があります。記載なし
取扱不動産会社情報契約を取り扱う不動産会社の基本情報や供託金など情報が記載されています。ほとんどが基本情報のみ記載
登記情報物件に登記されている所有者や抵当権などの情報が記載されています。ほぼ記載なし
災害(ハザード)情報土砂災害、津波災害、洪水災害、高潮災害などの警戒区域内外が記載があります。記載なし
貸主及び管理業者貸主(オーナーさん)の情報と建物管理会社の表示があります。
家賃保証会社の表示家賃保証会社の会社名や住所などの情報が記載されています。
使用目的居住用や事業用などの使用目的が記載されています。
契約期間と契約の更新契約期間と更新手続きや更新料の有無が記載されています。
賃料及び共益費など毎月支払う家賃や共益費、駐車料などが記載されています。
支払い方法銀行振込や口座振替など毎月支払う賃料の支払い方法が記載されています。
賃料の改訂賃料の変更に関して記載があります。通常は家賃が上がることはめったにありません。管理会社により有無が異なる
敷金・保証金・礼金等契約時にあずかる敷金・保証金や礼金などの費用が記載されています。
遅延損害金賃料の支払いが遅れた際の、損害金のパーセンテージが記載されています。14.6%が上限になっています。管理会社により有無が異なる
反社会的勢力の排除暴力団・右翼などの関係者だった場合は入居不可、もしくは契約解除などの内容が記載されています。ほぼ記載なし
中途解約途中解約に関して何か月前申告で解約できるか記載があります。一般的には1か月前申告です。
貸主からの解約物件のオーナー様が立ち退きなどの理由で解約する場合の条件が記載されています。一般的には6か月以上前の申告になっています。管理会社により有無が異なる
契約期間中の修繕入居中の設備修繕などに関しての記載があります。管理会社により有無が異なる
禁止事項物件入居中に禁止されていることが記載されています。ペット飼育不可、石油ファンヒーター禁止、駐輪場へのバイク駐輪などが代表的な例です。
原状回復義務退去時の原状回復(入居時に戻す)の内容が記載されています。一般的にはハウスクリーニングや鍵交換、畳表替などの費用が記載されています。管理会社により有無が異なる
違約金・損害賠償義務短期で解約した場合の違約金や、建物に損害を与えた場合の損害賠償のルールに関して記載されています。
立入り室内への立ち入りに関して記載されています。代表的な例としては消防設備点検や排水管高圧洗浄などがあります。ほぼ記載なし
特約事項契約書の中で、この特約が最優先されるルールになりますので一番重要な内容です。契約書に記載がない約束事が記載されています。

契約書と重要事項説明書の順番

やまびこ

では、契約書と重要事項説明書のどちらを先にしたらいいのでしょうか?

順番に関して詳しく見ていきましょう。

重要事項説明が先がおススメ

契約書への署名捺印と重要事項説明の順番ですが、重要事項説明を先に受けることをおススメします。

契約書と重要事項説明書のどちらの書類も重要なのですが、まずは物件やエリア、契約のポイントに関して重要事項説明を受けたうえで、契約書に署名捺印するという流れで手続きをすれば、比較的安心して契約できます。

IT重説であれば事前にチェックできておススメ

先ほど重要事項説明が先の方がいいと言いましたが、実は不動産の現場では契約書への捺印と重要事項説明は同時に行われることがほとんどです。

不動産屋の状況によっては、先に契約書への署名捺印をしてから後で重要事項説明をする場合も多いです。

やまびこ

とはいえ、説明を受ける前に捺印するのは不安・・・。

そういった方も多いのではないでしょうか?

その際には、「IT重説」というオンラインで受けれる重要事項説明をおススメします。

IT重説をすれば、事前に重要事項説明書が郵送されてきますので、事前に確認が可能です。またオンラインで行うため時間の調整がつきやすいです。

最近の追加項目

民法改正に伴い連帯保証人の極度額が追加

極度額=連帯保証人が立て替えなければならない家賃等の限度額

民法改正にともない、連帯保証人が負担すべき金額を定めるルールが設けられました。

今までは、連帯保証人は契約者が負った滞納家賃などの債務を際限なく保証しないといけない状況でした。

そのため連帯保証人にかかってくる負担があまりにも大きいということで、極度額というものが設定されました。

現在の賃貸借契約では、極度額を設定しない契約は保証契約として無効になります。

一般的には、極度額は家賃の24か月分を設定される場合が多いです。

水害ハザードマップを用いた洪水・内水・高潮の説明が追加

重要事項説明にて、ハザードマップを用いて洪水・内水・高潮に関して説明します。

最近は、ゲリラ豪雨などが多くなってきました。

そのため、賃貸を借りる際に水害の危険度を確認するために、洪水・内水・高潮に関しての説明が義務化されました。

重要事項説明で、洪水リスクなどを把握することで安心して契約ができます。

ハザードマップを確認したい場合には、よければ下記記事をご参照ください。

ハザードマップ お部屋探しをするうえで、水害や避難場所などは気になるところです。 そのため、ハザードマップを事前に確認することをおススメ...

では今回の記事のまとめです。

まとめ
  1. 賃貸借契約書と重要事項説明書はどちらも重要
  2. 賃貸借契約書は大家さんと入居者さんとの間の書類、重要事項説明書は不動産会社が入居者に説明する書類
  3. 賃貸借契約書は入居に関するルールの書類、重要事項説明書は物件・災害危険度・契約のポイントを確認する書類
  4. 重要事項説明書で安心して生活できるか確認した後に契約書に署名捺印する順番がおススメ
  5. IT重説であれば、事前にチェックできて安心
  6. 民法改正に伴い連帯保証人の極度額設定が追加
  7. ゲリラ豪雨などが多発したため、洪水・内水・高潮など水害に関する説明が義務化